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【第57回】成長するってどういうこと?

  • 飯田 司、坂本 瑞生
  • 2020年10月29日
  • 読了時間: 5分

更新日:2021年6月22日

10月29日に今年度第12回目のかんがえるソファを実施しました!今回は1年生を中心に9名の方にご参加いただきました。

今回のテーマは「成長するってどういうこと?」。

まず、参加者のみなさんに自分が成長を実感したエピソードを聞かせてもらいました。 作れる料理が増えた、苦手な食べ物を食べられるようになった、手帳でスケジュール管理ができるようになった、バイトを通していままでにない経験ができた、などなど。

大学進学にともなって一人暮らしをはじめ、家事の一切から自己管理までさまざまなことが自分の手に委ねられる経験をした参加者のみなさん。そうした経験から、努力して自分自身を変えたり、ふと自分の変化に気づいたりしたことがたくさんあったようです。

つまり「成長」にはすくなくとも、意識して自分を変える「意識的成長」と、気づいたら自分が変わっていた「無意識的成長」とがあるようです。この両者にフォーカスして成長について考えてみたところ、多彩な意見が寄せられました。

「努力せず成された変化は、自分を取り巻く環境の変化に伴うものである。そもそもその環境を変えたのは紛れもなく自分自身であり、そこには多少の努力はあったはずだ。」 「成長には、成長に向かう行動の段階と成長を自覚する意識の段階とがある。」 「自分には成長といえない些細なことも、だれかから見たら成長といえるかもしれない」 「成長と呼べるかどうかは、その結果を本人や周囲が肯定的にとらえられるかどうかによるので、どんな努力をしたか、どれだけ努力したかによらない。成長は結果次第だ。」 「成長があくまで結果であるなら、結果とそれに至る過程を理解することで、次に何をすべきかが明らかになる。つまり、成長の自覚は次の成長につながる。」

一連の対話を通して参加者が自分の思う「成長」を言語化し、同時に他の参加者の思う成長に耳を傾ける経験ができました。最後に、各参加者が思う「成長」を再定義してみました。 「自分ができるようになったことを認知すること」 「自分や周囲が肯定的にとらえることのできる変化」 おおよそ、このように成長を定義できるようです。

参加されたみなさん、ありがとうございました。 個人的には、この回を通して成長に思っていたよりひろい意味があることに気づいた、と言ってくださった方がいたのがうれしかったです。他のみなさんにも様々な気づきがあればなによりです。

参加後アンケートより(抜粋、一部加筆)

「自分の意見をはっきり言える雰囲気で、参加者の反応もよく質のいい話し合いができたと思います。とても楽しかったです。」 「新しい考えが得られて楽しかったです。ありがとうございました。」

ファシリテーター振り返り(担当:坂本)

ファシリテーターを務めた坂本です。当日の司会役としての感想や振り返りを簡単にしてみたいと思います。

ファシリテーターは、事前に対話の流れや出てきそうなキーワードを想像しながら大まかな話の流れや問いかけをいくつか準備しています。もちろん、毎回その通りに進むとは限りませんし、多くの場合は予期せぬ方向へと対話が展開していくことがほとんどです(そして、それが哲学カフェの醍醐味だとも言えます)。この観点から見ると今回のかんがえるソファは「ねらい通りの部分」と「予期せぬ部分」が半々になった、非常に良い回だったな、と感じています。

実は、事前の準備の段階でいくつか出てきそうな話題やキーワードは考えていました。「成長のきっかけ」や「成長と苦労の関係」「成長後の状態をどのように捉えるか」といった事柄は、事前に予想していたキーワードであり、当日の対話の中でも中心的な話題となっていた事柄でした。

一方で、これらのキーワードが有機的に結びつきながら思考が深まり、展開していく様は予期せぬ展開でした。たとえば「知らず知らずのうちの成長/意図した努力による成長」という区別が「複数の結果をもたらす成長(適応)/1つの結果に限定的な成長」といった結果状態の区別と接続されていく話などは非常に興味深く、ファシリテーターという立場ではありますが、私自身、純粋に学ぶところが多く楽しい回でした。

もちろん、反省点もあります。特に今回は話のテンポが速く次々に新しい論点やキーワードが出てきたために、話の流れを把握しきる前に次の話題に移ってしまうといったことがありました。こうしたテンポの速い対話は、流れについていける人とそうでない人との間の差を開かせてしまうリスクがあります。ファシリテーターとしては、対話の流れを整理したり、少し振り返ったりする機会をもう少し作るべきだったな、と振り返っている限りです。

本編が終わった後に、何名かの参加者の方が残って感想などを伝えてくれました。そこで「言いたいことはあるけれど、うまくことばにまとめられない」「その場の話の流れと関係のないことを言ってしまうのではと心配だ」といった思いを伝えてくれた方がいました。その心配は私自身よくわかります。けれど、ファシリテーターの立場からお返事をするならば「気にせず話してOKです」とお伝えしたいと思います。思いついたアイディアをことばにする中で思考をまとめていく、他の参加者と一緒に練り上げていくことも哲学カフェの醍醐味です。自分の考えを的確に言い表すヒントを、他の参加者が与えてくれることもあります。また、一見無関係に見える話題も、掘り下げてみると根っこの部分で別の話題と結びついていることも良くあります。かんがえるソファは、こうした思考の見取り図を描く「実験」をする場でもあるでしょうし、そのお手伝いをするのがファシリテーターの役割です。緊張するとは思いますが、ぜひ気軽に思いついたことを話してもらえると素敵なのではないかなと思いました。発言のハードルを下げて、もっとラフにアイディアを共有できるような場や雰囲気づくりをすることも、ファシリテーターとしてのわたしの課題として、次回以降も意識していこうと気を引き締め直した次第です。

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