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【第59回】すごい人ってどんな人?

  • 須田華、西塚孝平
  • 2020年11月19日
  • 読了時間: 7分

更新日:2021年6月22日

11月19日のかんがえるソファには10名の学生にご参加いただき、「すごい人ってどんな人?」について考えました。

このテーマにした理由

私たちは「これ、すごくね?」「すごっ!」など、すごい(凄い)という言葉をよく使っています。でも、何がどのようにすごいのかの説明は省略されがちで、それを言えば万事事足りるかのような、曖昧な表現ともいえます。私たちがどうして人をすごいと思うのか、すごいと思ったとき私たちは一体何を考えているのかをハッキリさせてみたい、という思いがテーマ設定の背景にありました!

すごい人ってどんな人?

初めのアイスブレイクでは「すごいモノ」を持ってくるオンライン借り物競争をして、そのすごさを説明してもらいました。古典やゲーム、スマホ、本(漫画・辞典)、英字新聞、まつぼっくり、珪藻土マットなど、皆さんのオリジナルな視点ですごいと思う理由を紹介していきました。

「すごい」の使い方に触れてもらった後に、まずは皆さんが思う「すごい人」とはどんな人かを共有しました。

  ・苦手なことができる人

  ・日常的な価値観から逸脱している人

  ・1つの物事を突きつめられる人

  ・自分ができないことができている人

  ・今の状況の満足せずに向上心をもつ人

  ・人生の苦難を乗り越え、人々に感動を与えられる人

こうした人に出会うとき尊敬やカッコいいなどの感情が出てきたほか、相手には使うけど自分で自分を「すごい人」とはあまり言わないという発言もありました。

純粋なすごさ vs 純粋ではないすごさ

そのなかで、自分と関係ないことをしている人は「純粋にすごい」と思えるけど、関係している人に対しては劣等感やうらやましさをもった「すごさ」になる、という話から大切なキーワードを拾いました。それは、「純粋なすごさ」と「純粋ではないすごさ」とは何かという対比です。ここでいう純粋さとは、妬み、劣等感、うらやましさなどの雑念が混じっていない、相手に対する負の感情が全くない状態のことを指しています。

この対比構造に迫っていくために、上に挙げた「すごい人」が皆さんにとって「なりたい人(=目標)」なのか、それとも「別になりたいとは思ってない人」なのかと問いを投げかけてみました。私のほうで、「純粋なすごさ」が後者に、「純粋ではないすごさ」が前者に重なるのではないか、と何となく予想したからです。これについては、例えば次のような意見が集まりました。

  ・自分がなりたい人のなかの選択肢の一つ(全部ではないが部分)にはなる。

  ・性格や環境も、その二つのどちらに傾くかの決定要因になる。

  ・畏敬の念をもったリスペクト(完璧な尊敬)と俗的なリスペクト(妬みや嫉妬を伴う尊敬)に分けられる(※ファシリテーター振り返り)。

畏敬の念をもったリスペクト(=純粋なすごさ)については、もう少し細かく見ることができるようです。以下のような意見もありました。

  ・リスペクトは、畏敬の念といった重たいものではなく、違う経験をしている人を承認する気軽さをもったものもあるのではないか。

感情が複雑に絡み合っている俗的なリスペクト(=純粋ではないすごさ)については、次の特徴があるのではという話もありました。

  ・自分と同等の次元や領域にいるときにその「すごさ」を味わう。

  ・同等の次元にいるとそれに自己投影させやすく、心酔・快感を得られる。

一方で、二つの対比は少し極端なのかもしれないという話も出ました。

  ・全体ではなく、ある一つの面から比較するときに「すごさ」を感じるのではないか。

  ・ある面では「すごい」、ある面では「すごくない」といったようにバランスの問題で、この二つの中間に私たちはいるのではないか。

すごいと思うときの感情って?

ここまで抽象度の高い話が続いたので、再び具体的なレベルで考えていけるように、「すごい」のもつ感情的な側面について聞いていきました。皆さんは、どのような思いで「すごい」と言っているのでしょうか?「すごい」と思うとき、どういう感情に浸っているのでしょうか。

  ・世の中で見本・模範的な人は、偉大ほど大仰ではないけど「えらい」と思う。

  ・真似をしたいと思い、努力すれば手が届きそうだけど、手が届かないとき。歯がゆさと憧れが共存している。

  ・絶望や諦め(自分はすごい人だと思っている人のようにはなれない気持ち)ではなく、「頑張ろう」と思い、自分にもできるのではと希望や期待を持つ。

  ・絶望や諦めがあっても、自己の至らなさに気づければ、期待・希望に変わる。

こうして、少しずつ純粋さと非純粋さとは何であるのか、それはどう関係しているのかを考えているうちに、時間が来てしまいました。私たちが「すごい」と感じるときの心の状態が一体どうなっているのか、少しみえてきたのではないかと思います!

参加者の感想(回終了間際の振り返りを要約)

・「すごい」について、価値観が人によって多様。自分には「憧れ」の意味が強かったが、マイナス面の感情もあるというのは新しい発見だった。

・いろんな「すごい」があって、すごい人に会うことでうまれる絶望と、それによる推進力は今までになかった考え方。それを知ることで、今後「すごい人」にあったときに有効活用できそう。

・「すごい」が「すごい」抽象的で、参加前はイメージできてなかった。この場で、「すごい」について分析できた。2つに対比して考えるともっとわかりやすくなったかもと思う反面、分かるのは難しいと感じた。

・自分と同等ではない「すごい」にだけ注目していた。いろんな人が集まった場だからこそ出たアイディアがたくさんあった。中間をとるとは必ずしも思わない。「すごい」にグラデーションが生まれる要因として、感情を抱く側の性格や環境も影響しているかも。

・「すごい」にこんないろいろな感情が介入しているのは気づきだった。人に対して「すごい」と思ったときに、その背景にどんな感情を抱いているのか、意識できるといいなと思った。

ご参加いただき、ありがとうございました!

今後やってほしいテーマや、かんがえるソファ以外の企画(悩みなど)があれば、匿名で随時受け付けていますので、下記のリクエスト・ボックスに気軽に投稿してください!(投稿には東北大学のメールアドレスでのログインが必要です)

リクエスト・ボックスURL→https://forms.gle/bQeFULDPkcWtDr1p6

ファシリテーター振り返り

こんにちは^^ 今回ファシリテーターを担当した西塚です。

今回も事前に、皆さんから出てきそうな問いをいくつか想定していました。

  ・すごい人ってどんな人?

  ・すごい人はあなたにとってどんな人?

  ・どんな思いで「すごい」と言っている?

  ・どういう状態、状況のときに人をすごいと感じる?

当日の対話では、上の三つあたりが中心になったように思います。もちろんここで提示した問いは対話の入り口にしかすぎません。そこから先、どのようなキーワードを拾い、深化させていくかは私自身にとっても未知の領域です。

ファシリテーターとして反省すべき点は、対話のスピードが全体的に速く、次々に出てくる言葉が宙に浮いたまま話が進んだことに対して、皆さんのなかで戸惑いや混乱があったかもしれません。例えば、「リスペクト」や「尊敬」といった言葉は、「すごい」と同じ意味で使われていたかどうかきちんと確認しないまま、対話を進めてしまいました。すごい人とは何かを対比的に理解するときに、「畏敬や尊敬の念をもったリスペクト」と「妬みや嫉妬を伴うリスペクト」という対立軸が出てきましたが、「リスペクト」が「すごい」と全く同一の意味なのか、それとも多少なりともズレがあるのかを検討するべきでした。ここで、リスペクト=尊敬=すごいのような関係が固定されてしまったので、「すごい」の分析がうやむやになってしまったかもしれません。もしそれがキチンとできていれば、最後の「絶望」や「希望」といった広い意味を持った言葉に関しても、地に足をつけて具体的に考えることができたように思います。

第54回の坂本くんも話のテンポが速かったと反省していました。同じように私も、話を進める以上に、話をいったん止めることのほうがよっぽど難しいと感じています。高度で抽象的な言葉を使い始めると哲学対話っぽい空気が流れ出すので、どうしてもそれを良いものだと認識してしまう私がいます。しかしその空気を認め続けてしまうと、十分に咀嚼しきれていない発言や言葉が縦横無尽に飛び交ったり、具体的な経験を踏まえた話ができなくなったりして、迷走することになります。内容の真実味や論理の整合性は丁寧にその都度確認する、説明不足や検討すべき課題が見過ごされていないかを発見するなど、立ち止まることも大切にしたいですね。

ファシリテーションも上手くいく回とあまり上手くいかない回があり、どうして上手くいったのか、なかなか確言を得ることはできません。私も参加者の皆さんと、何ものにも代えがたいこの時間・空間を享受しつつ、また、活動を振り返るなかで、私なりのファシリテーションの型を探していきます。皆さんもぜひ、些細なことでも不思議さや違和を感じたことに出会ったときには、どんどん質問してくださいね!

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