【第60回】孤独についてかんがえる
- 飯田司、須田華
- 2020年11月27日
- 読了時間: 5分
更新日:2021年6月22日
11月27日に今年度第15回目のかんがえるソファを実施しました!今回は8名の方にご参加いただきました。
今回のテーマは「孤独についてかんがえる」です。
テーマ設定の理由
一人暮らしをしている大学生は多く、また最近のリモート生活の中で一人を意識する時間を多くの大学生が感じていることと思います。そんななかで、大学生が(あるいは一般的に人間が)どのようなときに・なぜ・なんのために孤独を感じているのか、気になりました。特に、人には否応なしに孤独に感じるときと一人になりたいとき(孤独を感じたいとき)とがあるといいますが、多くの場合ネガティブなものとされる「孤独」にポジティブな側面があるとすれば、それはどのようなものなのか考えてみたいと感じて、今回のテーマを設定しました。
議論の軌跡
東北大では一人暮らしをしている学生が多いですが、今回の参加者の皆さんも8人中7人は一人暮らしでした。一人で生活してみてみなさんどのように感じているのでしょうか?
「家事などが大変」
「帰っても誰も待っていないのでさみしい」
「家族や友人など今まで作り上げてきた関係がないので孤独を感じる」
「あまりかわらない」
「独り言などだれも気にせずに言える」
「一人の時間も好き」
というようにみなさん感じているようです。
ではいったいどんなときに皆さんは孤独を感じるのでしょうか。
「具合が悪くなったとき」
「地元の友達が遊んでいるインスタをみたとき」
「なにもやることがなくなったとき」
「Zoomミーティングを強制終了されたとき」
ここからSNSで孤独を感じたことはありますか?という話につながりました。
「みんなでリモートで勉強をするとつながりをかんじるので孤独は感じない」
「かつての恋人が別の人と恋愛関係を匂わせる投稿をしているのをみたとき孤独を感じた」
これに対して、誰かの投稿をみて孤独を感じるのは、その投稿が自分の孤独をかえって浮き彫りにして余計に孤独を意識させるからではないかという考察がでました。
「既にできあがっているグループに自分が新たに入るとき、自分以外の人たちの仲の良さを目の当たりにして孤独を感じた」
ところでこの状況は対面であっても起こりうるのでしょうか?これに対して、SNSでは自分の反応が周りに見えないのでどんどん進んでしまいますが、対面の場合は自分が困っている様子なども感じ取れるのでそういったことはSNS上のほうが色濃くでるのではないかとの意見が出ました。
少し前の話に遡りますが、なぜ一人暮らしを始めて孤独を感じるようになるのでしょうか?
「実際につながりを実感する時間が減るから」
「物理的距離、心理的距離がファクターとなって孤独を生むのではないか」
などの意見が出て、これに対して「孤独というのは①関係性・親密さの欠如、②親密だけど物理的にはなれている、の2つに分類できるのではないか」という意見が出ました。
さて、孤独についてかんがえを進めていくうちに「心理的距離」「物理的距離」というものがキーワードとして上がってきました。心理的距離とは即ち関係性の近さによるもので、物理的距離とは物理的に離れているか否かということを指します。心理的距離、物理的距離というものはxyの軸のように(ホワイトボード写真二枚目右上)かんがえることができるのではないかという意見、また基本的な決定要因は心理的距離で、物理的距離はこれに影響を与える一因子にすぎないのではないかという意見などさまざまな意見がでました。
これまで孤独についての考えを深めてきましたが、結局孤独とは良いものなのでしょうか?これにたいしては
「自由にできる良さがある」
「関係性がないということはかなり辛い状態ではあるが、悪い物ではなく、自分を見つめ直すことにもつながる」
「さみしいという感情は勝手にわき上がってくるから良い悪いもない」
「自分の意識のベクトルは普段他人に向いていて、そのベクトルがくるりと自分に向かったとき孤独を認識するのではないか。この自分に意識が向かっている時間が良いものだったかどうかによって孤独が良いものかどうかは決まると思う。」
など様々な考えがでてきました。
以下は参加していただいたみなさんの感想(抜粋)です。
「孤独には良い面も悪い面もどちらもあると気づいた」
「孤独は普段気づかないだけで日常的にその状態になっているのではと思った」
「学年が変わったりする節目のときには孤独を感じるからこそ積極的に動くことができているのかもしれない」
「孤独というのはひとりひとり捉え方がちがうのかもしれない」 などなど
【ホワイトボード記録】※名前は伏せてあります



ファシリテーターより議論の振り返り
今回は今年度初めての対面開催でした。それを踏まえた今回のソファの一番の特徴として、最近のオンライン開催よりも参加者みなさん同士の議論がさかんだったと思います。参加者のみなさんがお互いに意見を交わすことで、深い議論ができたと感じています。
ファシリとしては今回、「ひとり暮らしで孤独を感じるのはどんなとき?」という具体から、より抽象的な次元に向かうことを意識していました。
ソファを実施してみて、ある状態を指す「独り」という言葉と、ある心情(?)を指す「孤独」という言葉の意味が議論の中で混同していたと感じます。ファシリとしては、両者の区別をもっと明確にできれば、さらに「孤独」という言葉の輪郭に近づけたのではないかなと思います。
さらに、参加者のみなさんの感想に「孤独には多様な面があることに気づいた」というものもありました。この点から、参加者のみなさんが思う「孤独」を集約するのみならず、それらを比較し、その違いをさらに明確にできるとよかったとも思います。
最終的に孤独に関してさまざまな意見が寄せられましたが、今回検討した以上に様々な切り口とその答えがあるテーマだと思いますので、今後ぜひ機会がありましたら、孤独にまつわるテーマでソファを開催したいと思います。
改めてご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
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